仏  話

速成寺法話集
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十王経 其の二

死後の最初の一週間の事
(死出の山にたどり着くまで)

死後、最初の一週間
(いわゆる初七日)

にあらわれる王の名を、

秦広王と申します。

これは、この王の御前に

たどり着くまでの物語。



 
人は命が尽きた後、

たった独りで果てのない、

闇の荒野をさまよう

ことになります。

これを、中陰の旅

と申します。


何処に行けばいいのか

あてもなく、

身の置き所もなく。

あたりは薄暗く、

何もありません。

心細くても

帰る道はなく、

遠くなっていくばかりで、

行くも戻ることもできず、

休むことさえできません。

ただあるのは、

どうしようもない孤独と

悲しみの涙ばかりです。

 
このようにして、

さまよう内に、

あるいは途中で

鬼が迎えに来る人もあり、

あるいは王の御前で、

初めて鬼と出会う人もいます。


これは、その人の

生前の行いによるものかと

思われます。


これより語られるのは、

仏の教えを

成就する程の行いもなく、

迷いの生死の中に暮らした

普通の人々の有様です。


さて、死者はこのような

中陰をさまよう内に、

どこからともなく、

苦痛に身悶える、

恐ろしい叫び声と、

怒鳴り責め立てる

鬼の声を聞きます。


先ほどまで

孤独に怯えていたのに、

恐ろしい叫び声に胸は騒ぎ、

不安と恐怖に立ちすくみ、

隠れようにも、

身を隠す場所もありません。


一体どうすればいいのだろうと、

おろおろ考えていると、

まもなく大きな鬼と出会います。


今まで話で、

地獄の鬼の話を

きいてはいましたが、

目の当たりにして、

その恐ろしさは

伝えようもありません。


鬼は、そんな死者を、

息つくまもなく

容赦なく責め立て、

金棒を振り回し

追い駆け立てます。


芯から震え上がるような

恐怖におののき

逃げまどううちに、


やがて死出の山へと

たどり着きます。



この山は

怖ろしいほど高く

険しくそびえ立ち

とても越えていけそうには

ありません。

しかし鬼に「登れ!!」言われて、

泣く泣く登りにかかります。


ところが岩の角は

剣のように鋭く、

進めたものではありません。

どうしようもなく、

もたもたしていると

鬼に鉄棒で

打ち砕かれます。


死者は、たまらず

息絶え倒れますが、

しばらくすると

先程と変わらぬ様子で

再びよみがえります。

この山が死出の山と

言われるのはこのためです。


鋭い岩場に足の踏み場もなく、

険しい坂に杖もなく、

道の岩に足が裂けて、

履き物がほしくても、

履かせてくれる人は

もういません。


山はまるで壁のようで、

峯から吹き下ろす風は、

肌を凍らせ骨を刺します。


この死出の山を越えて、

ようやく秦広王の御前に

参ることが出来ます。


ついてみれば、

いままで一人しかいないと

おもっていたのに

とてつもない数の死者達が

群れのようになり、

王のいましめを

様々に受けています。


そのとき、大王は

死者を御覧になって

申します。

お前はまた

戻って来たのか。

何回ここに来れば

気が済むのだ。

忘れたのか、

お前は地獄で罪をつぐない、

その報いを終えて、

ようやく生まれ変わるとき、

地獄の鬼達が


「人間に生まれ変われば

速やかに仏道修行をして

成仏せよ。

もうこのような所には

決してくるな。」

と懇ろに言っておったのに、

修行をした様子もない。

ただ欲しいままに罪をつくり、

しばらくしてまた帰ってきた。

なんとも情けない。

しかもお前が生まれた

人間の世界は、

仏の教えが

伝わっている国で

あったはずだ。


どうしてその教えを

受けることもなく、

いたずらに時を過ごして、

また戻って来たのだ。


そのとき、死者は

大王に申します。

仰せのとうりでは

ございますが、

しかしこの身はもともと

愚かでありまして、

修行して仏に成るなどとは、

夢にも考えませんでした。

ただ今は、

くだらない因果のために、

このような報いを受け、

うらめしく思うばかりです。

私に罪はないと思います。


そのとき大王は、

大いに怒り死者を

怒鳴りつけます。

馬鹿ものが!

通らぬ理屈を申すな!

自分は愚かだというが、
 
仏と成るのに

何の智慧や才覚が

いるというのだ。
 
お前は好き勝手に暮らし、

するべきこともなさず
 
またここに

戻って来ただけではないか。

何度、同じ事を

繰り返せば気が済むのだ。

もし他に言うことが

あるのなら言うてみよ!


と、死者をにらみつけます。

死者はもはや何も言えず、

畏れ入るばかりです。


大王は申します。

お前はさっきまで

遠慮無く理屈を

言っていたのに、
 
今度は返事ないのか。


死者は泣きながら、

千回百回と

自分を恨み

悔やみますが、

もうどうすることも

できません。


後悔先に立たず


と申します。

よくよく考えて、

後に災いが起こらぬよう

心がけねばなりません。

欲望のまま怠惰に時を過ごし、

ましてや罪を犯して、

自分から災難や

苦しみを招いて、

死してなお

苦しみを受けても、

誰のせいでもありません。

すべて自分の報いです。


深くこのことを悟り、

自らの良心と

仏の教えに従って、

自ら仏に成ることを

願うばかりです。


さて、この王の

もとにて善悪の報いが

定まらないようであれば、

死者は次の王のもとに

送られます。



三途の川の話につづく
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